「退職金にかかる税金」を計算してみた!思ったより手元に残るかも?
|はじめに
セミリタイアをお考えの方へ
私はセミリタイアします。
計画的に早期退職を考え、税金について検討始められた方へ情報提供です。
退職金も所得として税金(所得税、住民税)がしっかり取られます。
「早期退職制度」がある会社では、退職金の他に、該当者には割増し金を加え、第二の人生を支援してくれる場合もあります。
(会社の思惑とは違うでしょうが、自分に都合よく解釈しましょう)
セミリタイアしてから慌てることがないように、しっかり理解するために、手に入る退職金のどれくらいが手元の残るのか、計算をしてみます。
【もくじ】
|現在50代の寿命は?
(出所:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果等より野村證券作成)
信頼できる様々な情報から、平均寿命は
2065年には
女性は91歳、男性は84歳
になるという将来推計が出ています。
現在50歳の男性であれば、あと34年です。
既に人生100年と言われており、100歳まで元気で過ごされる人もいるでしょう。
平均寿命を見ていると命のカウントダウンをしているようで複雑な気持ちになります。
それに34年が多いのか少ないのか、受け取り方次第で長くも短くも感じられますね。
この数字を目の当たりにすると、セミリタイアして、残りの人生を有意義に過ごしたいと誰もが思うはずです。
|会社をやめるとは
サラリーマンを卒業する事で”自由”が手に入ります。
その変わり多くの犠牲が伴います。
会社が代わってやってくれていた業務を自分で行う事になります。
例えば、
・「年末調整手続き」から「確定申告」に変更
・「社会保険」から「国民健康保険」に変更
・「厚生年金」から「国民年金」に変更
などです。
また、サラリーマンの”属性”を捨てることで、銀行融資の金利が期待できなくなります。銀行からみると会社員は返済能力の高い部類です。
それでも・・・
”サラリーマンのストレス”と”解放される自由”を天秤にかけて、私はセミリタイアを選択する事にしました。
|サラリーマンの恩恵
健康保険を使っていて知らなかった事ですが、
・傷病手当金が日給の85%まで支給
・出産育児一時金
・高額療養費
など、サラリーマンだったから助かっていた恩恵だったようです。
確かに個人事業の場合、自分は倒れたら収入は“0”ですからね。
自由と引き換えに”リスクを取る覚悟”が必要ですね。
また、定年退職と違い、セミリタイアの場合、
”60才までは自分で「国民年金」に入り、国民年金保険料の支払いをしないといけません”
|退職金はどれくらい残る?
退職金にかかる税金
さて、本題に入ります。
退職金も狙われています。しっかり「所得税」及び「復興特別所得税」を取られます。
「復興特別所得税」は仕方ないと思いつつも、まず東京電力の負担増加や無駄な国会や地方議員の削減と不明瞭な経費の見える化などで税金の見直しを徹底してほしいものです。
とにかく“取れるところから取れ”がまかり通っているのは非常に残念です。
例「39年9ヶ月サラリーマンでやめ、退職金が3000万円の場合」
退職金の計算は次のようになります。
勤続年数の端数は切り上げのため計算上は40年となります。
◆退職所得金額(課税対象となる所得)
勤続年数 |
退職所得控除額 |
20年以下 |
40万円×勤続年数 |
20年超 |
800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
・まず退職所得控除額を求めます。
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=
800万円+70万円×(40年―20年)=2200万円
退職所得控除額は2200万円です。
・次に、退職所得金額を求めます。
(退職金の総額-退職所得控除額)×1/2=退職所得金額
(3000万円-2200万円)×1/2=400万円
課税対象となる退職所得金額は400万円です
◆所得税額
所得税の他、復興特別所得税(2.1%)を含めて計算します。
課税退職所得金額 |
税率 |
控除額 |
1,000円から1,949,000円まで |
5% |
0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで |
10% |
97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで |
20% |
427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで |
23% |
636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円から 39,999,000円まで |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円以上 |
45% |
4,796,000円 |
上記の表より所得金額400万円にかかる税金は、次の計算になります。
(400万円×20%―42万7500円)×102.1%=37万2500円
◆住民税額・市町村民税
退職金は上記以外にこれらもしっかり取られます。
課税退職所得金額に対し、2つで10%取られます。
400x0.1=40万円
結局残るのは、
3000万円‐(37万2500円+40万円)
=2922万円
3000万円の退職金だと、手取り2922万円となりますね。
国税庁Hpを参照しています。
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm)
尚、「退職所得の受給に関する申告書」を退職時に出さないと上記の計算は適応されず、自分で確定申告する事になるようです。
|年金の減少もついでに
退職金の税金について計算式の説明をしました。
つ自分の予定退職金を入れ込んでみてください。
ついでに55歳(標準報酬月額50万円)でセミリタイアするケースで、年金の減少額についても計算例を示します。
例:60才まで年金保険料を支払えば、夫婦で270万円の年金予定とします。
・減少する年金額
年金定期便で確認する方法です。計算は下記の通り
(標準報酬月額は年金定期便に記載されています)
受け取る年金の年間減少額=
標準報酬月額x7.125/1000x60(55歳退職の場合60ヶ月)
この式に合わせると、
年間減少額=
50x7.125/1000x60=34.2
予定年金額が270万円だったので、
270万円-34万円=236万円
サラリーマンを継続すると270万円ですが、55歳でセミリタイアすると、
年金は236万円になるようです。経済次第で更に減少するかもしれません。
予定年金額や標準報酬月額は各自違いますが、上記の式に入れ込めば簡単に求められます。
|社会保険について
保険に関しては別記事で紹介していますので、参考にしてください。
|さいごに
・退職手続時に「厚生年金」から「国民年金」に切り替える
・「退職所得の受給に関する申告書」を退職日までに会社へ提出する